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AWS Summit Japanレポート ― AWSで実現する安全で迅速なDX推進を富士ソフトと伴走

2024年6月20日~21日に千葉県千葉市・幕張メッセにて「AWS Summit Japan」が開催されました。今年も富士ソフトは展示ブースを出展し、ソリューションや事例を展示、ミニセッションを開催しました。本コラムでは、当社の出展の様子をご紹介します。

今年の注目は「生成AI」と「セキュリティ」 

日本最大の“AWSを学ぶイベント”である「AWS Summit Japan」が、今年も幕張メッセで開催されました。会場では150以上のセッションが開催されたほか、250を超える展示ブースが設置され、開発者向けのライブステージや展示も勢ぞろい。AWSの最新技術やサービスに関心を持って会場を訪れた人の数は延べ3万人を超え、過去最大の実施規模となりました。

富士ソフトは昨年に引き続き、team FUJIBLUE「アプリとインフラの両方に対応できるSIer」をテーマに出展しました。富士ソフトは、AWSプレミアティアサービスパートナーの中でも技術認定(コンピテンシー)の取得数が国内第2位(2024年6月現在)のSIerです。AWSの最新情報を伝えるとともに、AWSを活用して安全かつ迅速にDXを実現するソリューションについて具体的に紹介しました。また、富士ソフトの展示ブースでは、富士ソフトソリューションの具体的な運用イメージを持っていただくために、多くの来場者にデモをお届けしました。

最新の技術を最前線のエンジニアが解説するミニセッション

展示ブース内のイベントステージでミニセッションを開催。「アプリとインフラの両方に対応できるSIer」として、AWSに精通する富士ソフトのエンジニアたちが、最新の取り組みとテクノロジーズについて解説しました。多くの来場者がイベントステージで足を止め、ミニセッションに聞き入る姿が見られました。

各ミニセッションの概要とポイントを簡単にご紹介します。

セッション:簡単にスピーディに始めることができる映像配信ソリューションと活用のご提案

このセッションでは、エリア事業本部 九州支社 第1システム部 課長の進 悠太が登壇し、「KVSコネクト」について解説しました。

セッションに登壇する進 悠太 

KVSコネクトは、AWSのクラウドベースの映像配信ソリューション「Amazon Kinesis Video Streams(KVS)」に簡単に接続可能な拡張性アプリケーションです。AWSクラウドに映像や音声を保存可能な「KVSモデル」と、映像や音声のリアルタイム双方向の通信サービスが可能な「WebRTCモデル」を展開しています。

KVSモデルでは、カメラで撮影した映像や音声をAWSクラウドにストリーミングすることで、分析や機械学習による検知、再生などができます。一方、WebRTCモデルではリアルタイムの双方向ストリーミングが可能で、ビデオ通話やドローンロボットの遠隔制御などに活用できます。

KVSコネクトの開発には、i-PRO株式会社が開発、提供するネットワークカメラおよびSDKを使用しています。このSDKを使用することで、C/C++、PythonなどでアプリケーションやAIモデルを開発でき、KVSモデルおよびWebRTCモデルに対応したシステムを構築可能です。

また、KVSコネクトとKVSモデルの両ソリューションはリテール、製造、物流、農業、教育など、様々な分野、業界で活用実績があり、簡単かつスピーディに導入できます。具体的な活用例として、立ち入り禁止領域への侵入検知と遠隔アナウンスのシステムを紹介し、実際に指定した領域のみに検知枠を描画できることも説明しました。

セッション:社内システムとのデータ連携で稼働時間を40% 短縮!! Amazon Bedrock+RAG構成の威力

このセッションでは、ソリューション事業本部 情報ソリューション事業部 DXシステム部の鴨川 孝弘と中村 一樹が登壇し、AWSを利用した生成AIシステムの概要と活用方法について説明しました。

セッションに登壇する鴨川 孝弘 

セッションに登壇する中村 一樹

AWSにおける生成AIモデル「Amazon Bedrock」は、生成AIを活用するための基本サービスです。生成AIを社内で活用して業務の効率化、生産性向上を図りたいお客様のために基盤モデルの実⾏とFine-Tuning環境をサーバーレスで提供します。

生成AIは学習していないことについては推論できません。そのため新しい情報や社内の機密情報を使用する場合はFine-Tuningによって追加学習させる必要があります。学習には非常に手間がかかりますが、「RAG構成」によって関連情報を自動で選択して生成AIに与えることにより、検索精度を向上させることが可能になります。

Amazon Bedrockは、社内業務の様々な用途に向けて基盤モデルを選択でき、文章要約や議事録作成、質問応答や翻訳、オリジナル画像の生成などに活用できます。さらにAmazon Bedrock+RAG構成によってさらなる業務効率化を実現します。セッションでは議事録作成、社内ノウハウ検索、他システム連携のデモを行いましたが、それぞれで47%、42%、42%と、いずれも高い工数削減効果が示されました。

また、富士ソフトが提供する「Amazon Bedrock導入ソリューション」も紹介。生成AI活用を検討されているお客様に向けて「導入サービス」「教育サービス」を提供するとともに、環境構築後も、お客様の要望に応じて、富士ソフトのエンジニアが検証、サポートすることで、業務プロセス全体の改善を支援します。

セッション:AWS とBizDevOpsでビジネスを加速する

クラウドxDevOpsエヴァンジェリストの大槻 剛、BizDevOpsスペシャリストの中村 和弘、プリンシパルPMの大石 淳の3人が登壇したこのセッションでは、AWSと「BizDevOps」を活用してビジネスを加速させる方法について解説しました。

セッションに登壇する大槻 剛 

セッションに登壇する中村 和弘 

セッションに登壇する大石 淳 

BizDevOpsは、ビジネス部門(Business)、技術部門(Development)、運用部門(Operation)の連携を図り、効率化を目指すことを目的とした概念です。ビジネス課題に対して、SIerとしての技術力を活かして解決策を提供し、お客様ビジネスを成長させることを目的としています。

そのケーススタディとして、Webサービスのマイクロサービス化を目的に移行した後に発生した問題に対処する方法を提示しました。いくつかの解決策がある中、オブザーバビリティの導入、AWSサービスの活用、モニタリングの設計など、適切な対策を組み合わせることで早期に問題を発見し、システムの信頼性向上やビジネス成長、サービスの円滑な運用に対応できることを説明しました。

また、各部門の中間に富士ソフトによる専門部隊を配置することで、課題解決に向けて取り組みを加速できると結論付けるとともに、BizDevOpsの本質は「当たり前のことを当たり前にやる」ことだと強調しました。

セッション:空前絶後のクラウドセキュリティ FujiFastener

セッションに登壇する竹田 暁彦

富士ソフトが提供している新しいクラウドセキュリティサービス「FujiFastener」を紹介しました。

FujiFastenerは「特定→防御→検知→対応→復旧」までをワンストップで実現する「フル・マネージドセキュリティサービス」です。セッション内では、ソリューション事業本部インフラ事業部インフラ推進部の竹田 暁彦がプレゼンターとなり、お笑いタレントのサンシャイン池崎さんとともにFujiFastenerを紹介するプレゼンテーション動画を再生しました。

その中で、FujiFastenerについて以下の4つの特徴を説明しました。

・優秀なセキュリティエンジニアとAIによる24時間365日の継続的なモニタリング

・AWSネイティブサービスの活用によるコストパフォーマンスの高さ

・最新の脅威にも対応したモニタリングが可能

・お客様の環境に合わせて柔軟な導入が可能

これらの特徴によってFujiFastenerは、運用負荷が大きく専門知識が必要なAWSのセキュリティ対策において、お客様の課題や環境、状況などに考慮しながら、安全でコストパフォーマンスが高いサービスを提供できることを説明しました。

また、アセスメントから実際の導入、運用開始まで最短1.5カ月で完了するなど、FujiFastenerがお客様のAWS環境を迅速に強化するサービスであると解説しました。

セッション:AWS中国リージョン導入・構築・運用 

グローバルビジネス統括部 チャイナビジネス推進部の山角 正範が、中国におけるAWSの利用と展開について説明しました。

セッションに登壇する山角 正範

AWSの中国リージョンは北京と寧夏の2つのデータセンターで運用されていて、厳格な利用者制限がある米国向け専用のリージョンであるGovCloud(米国)リージョンと同様に、中国リージョンは中国国内専用のリージョンとなっています。サービス内容は他リージョンとほぼ同じであるものの、一部制限があり、支払い通貨は人民元に限定される、といった特徴があります。中国リージョンにおけるAWSアカウントの取得には法人登録などいくつか特殊な手順が必要となりますが、アカウント取得から環境構築、アプリ開発、運用支援まで一貫したサポートを富士ソフトが提供。中国に拠点を持つ日系企業向けに、親会社である日本本社での支払いも可能な支払い代行サービスも行っています。

事例として、IoTシステムの中国展開や、データ分析におけるAWSの活用例を紹介し、中国固有のクラウドサービスに比べてAWSを利用することで総合的なメリットが大きいことも説明しました。

セッション:クラウド時代のIT 変革をリードするITトランスフォーメーションパッケージfor MCP 富士ソフトエディション 

AWS Partner Ambassadorである、ソリューション事業本部 インフラ事業部 クラウドソリューション部 主任 / エキスパートの安斎 寛之が、クラウドサービスの利用状況と効果、クラウド移行の課題と解決策、「ITトランスフォーメーションパッケージ for MCP 富士ソフトエディション(ITX Fujisoft ED)」の概要について解説しました。

セッションに登壇する安斎 寛之 

総務省のデータによると、クラウドサービスの利用状況は年々増加傾向にあり、利用企業の89%が「効果があった」と評価しています。また、クラウドサービスを利用している理由については、「場所や機器を選ばずに利用できる」「資産や保守体制を社内に持つ必要がない」といった点が挙げられ、「守りのICT投資」としてクラウドを利用する企業が多いことが分かります。

しかし、本来クラウドを利用する意義は、クラウドを使用してイノベーションを起こし、組織内の文化やビジネスモデルの変革を促すことにあります。そのため、DXを見据えるうえでは、「攻めのICT投資」としてクラウドを活用するべきなのです。

また、DX推進の第一歩としてクラウドへのデータ移行を検討するお客様が多く見られますが、その移行において「セキュリティの確保」「人材不足」「社内承認の取得」「移行方法の難易度判断」などの課題を抱え、クラウド導入自体を断念するケースも散見されます。そういった課題の解決に向けて、富士ソフトは「ITX Fujisoft ED」を提供しています。

ITX Fujisoft EDは、AWSの移行支援プログラム(ITX)と移行コンピテンシーを取得した富士ソフトのクラウドサービス活用のノウハウを組み合わせたDX推進プログラムです。コスト比較レポートの提供、社内体制構築支援、移行難易度評価、CCoE(クラウド活用推進組織)の設置、ガイドライン整備、技術者派遣などの対応を行い、「クラウド導入」「守りのICT投資」「攻めのICT投資」の3つの観点からお客様を支援。クラウド導入支援ではコスト面と技術面で、守りのICT投資支援では環境整備と定常業務の効率化を、攻めのICT投資支援では技術コンサルティングとクラウド利活用の支援を行います。

ITX Fujisoft EDを利用することで、組織はクラウド活用によってDXを推進し、迅速な変革と競争力の強化を実現できます。

セッション:360度カメラと生成AI が切り拓く新しい監視ソリューションの世界

AWS Partner Ambassadorであり、2020年~2024年の5年連続で「APN AWS Top Engineer」に選出された、エリア事業本部 西日本支社 インテグレーション&ソリューション部 主任/フェローの森田 和明が登壇し、360度カメラと生成AIを活用した新しい監視ソリューションについて解説しました。

セッションに登壇する森田 和明 

従来までのIoTデータの可視化では、グラフなどの表現方法が分かりにくく、専門知識がないと状況が把握しづらいという課題がありました。富士ソフトは、360度カメラと生成AIを組み合わせたソリューションを開発中です。360度カメラで撮影した映像を表示するとともに、IoTデータを画像の上に重ねて表示。さらに、生成AIを活用したIoTデータへの問い合わせを実現するとともに、異常値の検知なども可能にします。

このように生成AIの活用により、自然言語で質問することで専門知識がなくても業務を確認できるようになり、システムエンジニアやデータアナリストの負担が軽減され本来の業務へ専念することができると期待されています。

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展示ブースは両日ともに来場者で大賑わい

紹介したミニセッションと連動して、展示ブースで各種展示やデモを行いました。「AWSのセキュリティ対策」「移行とDX推進」「AIによる業務効率化」「カメラとAIを活用したIoTダッシュボード」をメインとし、「BizDevOps」「AWS中国リージョン導入・構築・運用サービス」「建設業向けプラットフォーム」についてもパネル展示。いずれも盛況で、イベント開催中は来場者が絶えることはありませんでした。

また「カメラとAIを活用したIoTダッシュボード」に関連して、i-PRO社の提供するエッジAIカメラの展示も行いました。「AIによる業務効率化」ではタブレット端末を使用して、実際に具体的に可視化された遠隔地のIoTダッシュボードの画面を確認するデモも実施しており、こちらも多くの人が訪れていました。

まとめ

富士ソフトは、今後もより多くのお客様がAWS環境を導入し、DXを加速していただけるよう、AWSのメリットを最大限に活用したアプリケーション開発からインフラ構築までトータルで提供してまいります。

AWSを利活用した生産性向上や業務効率化にご興味のある方は、ぜひ富士ソフトにご相談ください。

左から、安斎、大槻、大石、中村、進 

富士ソフトのAWS関連サービスについて、詳しくはこちら
アマゾンウェブサービス(AWS)

 

 

この記事の執筆者

FUJISOFT Technical Report編集部
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