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SNOWFLAKEWORLD TOUR TOKYO 2025参加レポート AIとアプリの未来を支えるデータクラウド基盤Snowflakeの挑戦!

はじめに

こんにちは!データ基盤の現役データエンジニアとして活動しているネットインテグレーション事業部の左手です。
2025年9月11日(木)から12日(金)にグランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール(品川)にて開催された、「SNOWFLAKE WORLD TOUR TOKYO」に参加いたしました。
国内外から多くの参加者が集まり、Snowflakeの最新技術やユースケース、AI・アプリケーションとの連携に関する発表が行われ、非常に活気あるイベントとなりました。私自身、SNOWFLAKE WORLD TOURへの参加は今回初めてになります。

本コラムでは、当日の基調講演や技術セッションの内容を中心に、特に注目された新機能や技術的なトピック、そして参加を通じて得られた知見や所感について、紹介します。

Snowflakeとは

Snowflakeは名前の由来となった雲(クラウド)から生まれた雪の結晶のマークが印象的なSaaS型のデータプラットフォームで、ストレージとコンピュートを分離した柔軟なアーキテクチャが特徴です。
SQLで直感的に操作でき、スケーラブルかつコスト効率が高く、AIやアプリを利用した統合的にデータ活用を促進することが可能な進化を続けている注目のプロダクトです。

SNOWFLAKE WORLD TOURとは

SNOWFLAKE WORLD TOURは全世界23 都市で開催され、Snowflakeの最新技術やアップデート情報、活用事例を紹介する基調講演をはじめ、Snowflake社を含む各企業のセッションや、ブースが立ち並ぶEXPOなどが開催されるグローバルイベントです。
2025年は東京のみ2日間に渡り開催され、10,000名を超える登録者と、40社のパートナー企業、170人のスピーカーが集う、SNOWFLAKE WORLD TOUR内では最大のイベントとなりました。当社経由でも150名以上のお客様にご登録いただきました。

セッション会場の通路に位置するところに掲げられていた巨大パネル。各セッションスピーカーの紹介パネル(左)、パートナー企業を網羅した紹介パネル(右)

基調講演

見逃せない最新情報が集う基調講演は2日間にわたり開催されました。
今年の「SNOWFLAKE WORLD TOUR TOKYO」では、「AIとアプリが導く、新しい可能性の世界へ」というテーマが掲げられ、AI時代に求められる考え方として「データ戦略なくして、AI戦略なし」という言葉が紹介されました。これは私にとっても非常に印象的であり、本イベントのキーワードとも言える重要なメッセージだと感じています。本コラムでは、AIとデータにフォーカスを当て、1日目の基調講演について触れていきます。

基調講演(Keynote)1日目

ステージにSnowflake Inc. のCEOであるスリダール・ラマスワミ氏が登壇し、日本企業におけるSnowflake導入事例として、NTTドコモ社や富士フイルム社などを紹介しました。これらの企業は、Snowflakeをデータ活用基盤として採用し、AI時代に求められる柔軟かつ強固なデータ戦略の構築を進めています。
Snowflakeの魅力として「一貫した統合型プラットフォーム」を強調し、その象徴的な特徴である「シンプルさ(Simplicity)」に加え、以下の3つのキーワードを提示しました。

Easy(簡単):導入・運用のしやすさ
Connected(つながる):社内外のデータ連携の容易さ
Trusted(信頼性):セキュアかつ正確なデータ管理

Snowflakeは、AI時代におけるデータ活用の基盤として、”シンプル”でありながら本質を突いた設計思想を体現しており、今後のデータ戦略において中心的な役割を担っていくことでしょう。これこそが、Snowflakeの真髄であると、私も日々使用していて感じており、共感いたしました。

データとAIの力で企業の可能性を最大限に引き出すと語るSnowflake Inc. CEOスリダール・ラマスワミ氏

ゲストを招き対談形式のセッションも基調講演内で実施されました。
OpenAI Japan合同会社の代表執行役社長である長﨑忠雄氏が登場し、Snowflake Inc.のAPJプレジデント 兼 会長執行役員のジョン・ロバートソン氏との対談が実現しました。
日本が抱えている社会背景とAI利用に対しての課題を含んだかなり濃い内容で、尚且つ刺激的でした。

長﨑氏は「AIは組織のOSになる」と語り、PoCに偏重している多くの日本企業に対し、AIの本格導入と業務への定着の重要性を強調していました。この日本ならではの課題に対して、Snowflakeの一貫した統合プラットフォームと汎用型AIの進化を通して、PoCから実運用への移行をつなぐ架け橋となっていくことが期待され、今後多くの企業での実現可能性に大きな展望を感じました。

日本企業とAI活用が目指す方向はどこかについて触れるOpenAI Japan合同会社:代表執行役社長 長﨑忠雄氏(右)とSnowflake Inc.:APJプレジデント 兼 会長執行役員 ジョン・ロバートソン氏(左)

各企業セッションコーナー

Snowflake社を含む各企業によるスピーカーが登壇するセッションが、会場内の至るところで開催されていました。2日間を通して、113のセッションが実施されており、活気に満ち溢れたよい時間でした。本コラムでは、ピックアップした1つのセッションについて紹介します。

Cortex AIによる非構造データ活用の実践:文書・画像・音声をSQLで分析(Snowflake Inc.) 

企業データ全体の90%を占めると言われる非構造化データ(文書、画像、音声など)を、いかに活用しきれていないかという課題に対して、Snowflake内のSnowflake Cortex AIを活用した「非構造化データ活用のためのフレームワーク」が重要だと述べていました。
Snowflake Cortex AIによる非構造化データ活用戦略への3つのステップを技術的な切り口も含めて下記にまとめてみました。

  1. Ingest(取り込み)
    〇目的: 外部ストレージ(S3, GCP, Azure Blob)の非構造化データファイルをコピーせずにSnowflakeで利用可能にする。
    〇技術的要素:
    Snowflake Openflow:LinkedIn Ads, Share Point, Google Driveなどのサードパーティからのデータ収集に活用。

  2. Transformation(変換)
    〇目的: 生の非構造化データを、SQLで扱える構造化されたデータに変換する。
    〇技術的要素:
    Snowflake Cortex AISQL: ユーザーは複雑な機械学習モデルを意識せず、シンプルなSQL関数(AI_TRANSCRIBE(文字起こし)、AI_CLASSIFICATION(分類)、AI_EXTRACT(抽出)など)でAI処理を実行可能。
    ※Snowflake Cortex AISQLの他の関数についてもっと知りたい方は下記リンクから
    Snowflake公式ドキュメント Snowflake Cortex AISQL (LLM 関数を含む):https://docs.snowflake.com/ja/user-guide/snowflake-cortex/aisql

  3. Activation(活用)
    〇目的: 誰でも使えるデータ環境を整備し、現場での迅速な意思決定を支援する
    〇技術的要素:
    Cortex Agent: 構造化データと非構造化データ全体を横断して質問に回答する自律的なエージェント層のこと
    Snowflake Intelligence: Snowflake上でAIエージェントをローコードで構築し、チャットUIで対話的に利用するための体験を提供する総合的な仕組み

上記これらの戦略は「Ingest (取り込み)」「Transformation (変換)」「Activation (活用)」の3つの柱で構成されています。特に、AI_EXTRACTなどのタスク固有のAI関数が日本語を含むマルチモーダルデータをシンプルに処理し、非構造化データから情報を抽出できる点は圧巻でした。

Snowflake Cortex AISQLの「AI_EXTRACT(抽出)」を用いたデータ抽出の例

全データを統合し、ビジネスチームでも扱えるデータ環境を整備し、分析アクセスを民主化することで、さらに非構造化データの活用が可能となるというメッセージは、データドリブンな意思決定を目指す企業にとって非常に実践的な提案だと感じ、私もお客様への提案に是非取り入れていきたいと考えております。

会場内の様子

特別に用意された大広間でのEXPO会場内で各企業のブースが多数展開され、データ活用に向けた提案事例やデモの実施など様々な方向からの知見を得ることができました。

EXPO会場内のSnowflakeを用いたAIエージェントなどのデモが体験できる大型のブース

参加者同士の交流を深める楽しいコミュニティイベントも開催されました。1日目では、リラックスした雰囲気の中で楽しめる「Happy Hour」が行われ、業種や職種を超えた参加者同士の活発な交流が生まれました。さらに、2日目にはSnow Village主催の「Snowflake Community Meetup」が開催され、Streamlitアプリケーションを使用したSnowflakeに関するクイズなど貴重な機会となりました。こうしたコミュニティイベントを通じて、参加者は単なる情報収集にとどまらず、新たなつながりやインスピレーションを得ることができました。

Happy Hourに駆け付けたSnowflakeのマスコットPolar Bearは来場者にスナックの提供を実施していた

また、2日間の期間中Snowflake認定資格保有者向けの特別な空間として「SnowPro Lounge」が設けられました。SnowPro認定資格(Core/Advanced・Specially)を保有する参加者限定で利用できる専用ラウンジです。Snowflakeの認定資格を持つプロフェッショナル同士が集い、より深い技術的な対話やネットワーキングを行うための特別な空間として提供されました。

SnowPro Lounge内のフリードリンクを提供していたバーカウンター

また、入場者には初回のみ所有資格に応じたノベルティが配布されるなど、SnowProとしての誇りを感じられる特別な演出も用意されていました。

左からSnowPro CoreのTシャツとSnowPro Advancedのパーカー、SnowPro資格のバッチになります。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
「SNOWFLAKE WORLD TOUR TOKYO」を通じて、「データ戦略なくして、AI戦略なし」というAI時代の核心を再認識しました。
Snowflakeは、そのシンプルな統合プラットフォームを基軸に、データ分析基盤だけではなく、データ活用基盤としてAIエージェント時代を見据えた最新技術を次々と展開しています。

今後も引き続き、当社としてもデータ民主化を加速させ、顧客に対して「共創」の輪を広げるデータクラウド基盤構築に邁進します。

この記事の執筆者

左手 克明Katsuaki Sate

ネットソリューション事業本部
ネットインテグレーション事業部
第8技術部グループ
担当 / シニアマスター

Snowflake